幾何公差について
設計者は部品を設計する際に、ワークの幾何学的特性を幾何公差を用いて正確に指示する必要があります。幾何公差は幾何偏差の大きさ、つまりどれだけ幾何公差によって指示された理想的な形状から、加工後にどれだけズレが生じてもよいかを指示するものです。
幾何公差は部品の「形状」に対しての規制であり、部品の単純な「サイズ」を規制する寸法公差とは大きく異なります。
幾何公差の表記について
幾何公差の表記は、それぞれ対応した記号を元に図面上に図示されます。実際に図面上に記載される場合は右図のように、「幾何公差記号」と求められる偏差・振れに応じた「規格値」、そして記号に対応する基準部部分(データム)が併せて表記されます。
データム
形体の姿勢公差・位置公差・形状公差などを規制するために設定する、理論的に正確な幾何学的基準をデータムと呼びます。
公差付き形体指示
幾何公差特性記号、公差値または必要に応じてデータム文字記号を右図の順序で縦線で区切って公差記入枠内に記入し、アルファベットの大文字を用いて指定します。
幾何公差記号
幾何公差は,幾何特性記号および付加記号の2種類の記号と公差値で表現されます。
幾何特性記号は、指示した公差が何を規制するかを示すものであり、真直度や平面度、真円度、平行度など用途・形状に応じた記号が19種類定められています。
特に精密部品の設計において重要なものとして、この技術ハンドブックでは特によく使われる幾何公差について次のページに一覧を記載しています。